元受講生で、ウィスコンシン大学のMBAプログラムに留学している熊崎さんからメールがありました。
ご多分に漏れず課題の量攻めにあっているようで大変そうですが、業界に特化したMBAプログラムであることもあり、学びが多く、充実した学業生活になっているようです。
「春学期は学部生を加えてのチームプロジェクトに取り組む予定で、先週学部生をリクルートするために面接官として学部生の面接に参加しました。もう一人のクラスメイトに助けられながらではありましたが、英語で面接官をするという面白い経験ができました。」
いや~、こういう体験、いいですね~。
「英語に関しては、聞き取れなかったり話せなかったりして落ち込む場面も多く、秋学期終了時点で当初期待していたほどの英語力の向上はまだないと感じています。半年ではそうそう簡単に上がるものではないということなんでしょうね。ただ、リスニングに関しては徐々に聞き取れるようになってきている場面もあり、この先どれくらい時間がかかるのかは想像もつきませんが、まだまだ聞き取れる箇所は増えてくるだろうという感触はあります。ゼミでも基礎科目のグループでも基本は私以外全員アメリカ人なのですが、学校に関係のある内容なら1対1での会話で相手が何を言っているのか全く分からないことはほとんどなく、スピーキングも徐々に積極的にできるようになってきています。問題はアメリカ人同士の会話。これは河野先生も渡米前に仰っていた通り、容赦ないですね(笑)。1ミリも内容が入ってこないことも多々あります。」
「全体として非常に緩やかな成長ながらも、比較的短期間でリスニング力が向上したと感じる場面もありました。秋学期の後半に企業戦略の授業があったのですが、毎回の授業前に課されるリーディングの量が半端でなく、授業もほぼ毎日あったので約2か月間、毎晩5~6時間のリーディングをするという生活をしていました。結果、リーディング力も伸びたのですが、同時にリスニングが明らかに楽になりました。音が聞こえるようになったというよりは、情報処理に脳が時間・労力をかけなくなったという感触でした。しかもリーディングに直接関係のある内容だけでなく、授業とは全然関係のないクラスメイトの話も馴染みのある内容なら聞き取りがぐっと楽になっていました。河野先生が仰っていた単語が”深く”身に付いている状態とはああこいうことかと実感した次第です。授業が終わった今、あの生活を自主的にしようという気にはなれませんが(活字の見過ぎで毎晩吐き気がするくらいだったので)、インプットの量は意識的に増やしていこうと思います。春学期の内容を見ると嫌でもまた似たような状況にはなりそうですが…」
これ、私が考えるに、めちゃくちゃ課題を読まされた結果として、英語のインプット量が一定の「閾値」に達したのだと思います。リーディングでもリスニングでも構文解析を(意識的であれ無意識的であれ)行っているわけですが、その処理の多くが「自動化」してきているのだろうと思います。リーディングを大量にこなすことでリスニング、さらにはスピーキング・ライティングというアウトプット面にまで好影響を与えるという好例だと思いますし、それを「閾値」に達するまで行ってようやく上達が自覚できるという例でもあるでしょう。それでもネイティブ同士の日常会話となると、背景知識を持っているかどうかなども関わってくるので、いまだにキツい、と。
「最近気づいたのが、聞き取れるか聞き取れないかは、話の背景知識の有無に非常に大きく関係しているということですね。アメリカ人同士の会話でも、授業の話や自分も知っているニュースの話などはかなり明瞭に聞き取れることが多いです。私の場合、河野先生に発音と細かい音まで聞き取ることを目指す大切さを教えてもらい、発音練習は渡米してからも毎日取り組んでいるので、音を拾う準備はそれなりにできている、ということかもしれません。逆に話の内容がアメリカの政治制度や大学スポーツなど内容的にも語彙的にも馴染みの薄いものになるとお手上げです。要は雑談が一番難しいということなんでしょうね。なので今はアメリカの政治や文化などの知識をつけるように心がけています。」
そして河野塾あるあるですが、やはり発音を褒められたようです。
「大学が留学生のために地元のボランティアをスピーキングの練習相手として紹介してくれるサービスがあり、有難いことに無料でネイティブスピーカーとマンツーマンの英会話をさせてもらっています。週2回ほどの頻度で、自由に会話したりスラングを教えてもらったりしています。発音を褒められました。アジア人であることは感じられるものの、私の言っていることの95%は分かり、彼が今まで会ってきた他のアジア人と比べると個々の単語の発音はかなり上手だと言われました。センテンスレベルだとまだchunkyで聞き心地が良くないとのことで、もっと流れるように話したほうが良いとも言われました。」
このchunkyとかchoppyという「日本人英語」の特徴は、克服に時間がかかります。河野塾の授業でも早いうちから取り組むポイントですが、やはり指摘されてしまう。大量のインプット・アウトプットを通して少しずつ改善していきたいですね。それにしてもこうした点を捉えて率直に指摘してくれるネイティブに教えてもらっているというのはラッキーですねえ。
熊崎さんはさらに自分でも文法や発音などの学習をする時間を取ってしっかりやっておられるようで、その姿勢には本当に頭が下がります。彼は年齢も若いので、最終的にかなりの英語力を身に付けて帰ってこられるのではないかと期待が高まります。