合格速報 & 河野塾体験記

以前当ブログでご紹介した伊藤さんが、ミシガン大学のRoss School of Businessに合格しました!

他にインタビューを受けた2校にも合格し、3戦全勝となりました。

伊藤さんは、2024年の2月から受講開始されましたので、丸1年かかったことになります。このたび、伊藤さんがこの1年間の体験記を寄せてくださいましたので、以下にご紹介します。

私としては「生徒さんがこんなに短期で点数向上しました!」という報告をしたいのですが(笑)、生徒さんによってはそれなりの時間がかかるのも事実です。元々の英語力がさほど高くない状態(※)からスタートするのであれば、むしろ1年程度はかかることを覚悟し、腰を据えてじっくり取り組むのが、結局は最も着実な方法であると考えます。逆に「コスパ」だの「タイパ」だの言いながら表面的でつまみ食い的な学習をすると、肝心の英語力が伸びない。したがって結果も出ず、却って時間がかかってしまう。

その点、伊藤さんはご自分の現在地を冷静に見つめ、覚悟を決め、腰を据えて取り組みました。点数が伸び悩んだり、仕事や家庭との両立に苦労するなど、決して平坦な道のりではありませんでしたが、それだけに、これから留学に向けた学習を開始したいという方には大いに参考になるでしょう。伊藤さん、お忙しい中、誠にありがとうございました!

(※)伊藤さんは来塾時のTOEICが880点。十分に高いではないか!と思われるかもしれませんが、これが決して高くないのです。TOEICに関しては、「問題演習とテストテクニック」で高得点に達したとおっしゃる方も多く、800点超を持っていても、英語力そのものにはあらゆる面で不足があるのが通例です。最近とみにその傾向が強まっていると私個人は感じており、もはやTOEIC800点台は単純に「英語力不足」と判断しています。


こんにちは、伊藤と申します。河野塾での学習を経て、このたびUniversity of Michigan, Ross School of Businessにおいて、2025年IntakeのMBAプログラムに合格することができました。以下が受験結果です。

University of Michigan: Ross School of Business     進学
Carnegie Mellon University: Tepper School of Business 合格
Georgia Tech: Scheller College of Business       合格
ESADE Business School         Interview招待→辞退

とあるカウンセラーから「英語については河野先生に相談してみては?」と助言を受け、その日のうちにコンタクトを取り、面談を受け、授業を開始したことを今でも鮮明に覚えています。その決断は、MBA受験プロセス全体を通して最良のものであったと断言できます。

IELTSからGMAT、Interview対策など、留学準備まで全てのプロセスにおいて河野先生のお力を借りました。仕事、家庭の関係でどうしても受験一辺倒にはなりませんでしたが、個別指導ならではのきめの細かい指導により、予習復習において無駄な時間が一切なく、効率的に学習できました。

河野先生のブログに掲載されている過去の合格体験記には、英語力が低い状態から通年で利用された方の体験記が少ないと感じましたので、1年間河野先生のもとで学習を続けた体験記を寄稿したいと思い、筆を取りました。

受験をされる方の参考になることを願っております。

学習経過

2023年7月 社費応募

2023年10月 社費選考合格

この時点で英語には4年間触れておらず。4年前はTOEIC880点でした。

2023年11月~2024年1月

単語帳・別の予備校・外国人の個別指導(スピーキング対策)を中心に、IELTS対策を開始。また、オンライン英会話(レアジョブ)を毎日続けました(3月頃に終了)。

12月にIELTS初受験。OA5.5点。1月にも2度目の受験をしましたが、やはりOA5.5点でした。

この留学準備の時期を逃したら、英語を集中的に学習する機会はもう一生訪れないだろうと思っていたので、テストの点数を取ることももちろんですが、これを機に英語力を上げたいという気持ちのほうが強くありました。しかしそれが実現出来ている気がせず、とりあえず手を付けたこと以外にどう勉強したら良いのか、方針が全く見えませんでした。

2024年2~4月 

河野塾の個別面談を受けました。「IELTS対策だけでなく、英語力を上げたい」とお話したところ、「IELTS/GMATはもちろん、留学、その後の仕事などにも活かせるように指導します」と力強いお言葉を頂き、入塾を決意しました。

IELTSの問題演習から始まると思いきや、まさかの発音からでした(笑)。発音の学習は中学1年生以来で、たしかに理解は中途半端でした。河野塾では発音の全体像を短期間で学ぶことができ、良かったです。また、弱形などについては全く意識していなかったので、その後のリスニングに大きな影響を与えました。

同時に、河野先生の単語帳で英単語暗記をスタートしました。単語帳は5冊程買いましたが、最後まで出来たのはこの単語帳だけでした(笑)。昼・夕方などのスキマ時間でひたすら進めていきました。先生には、学習を継続するための工夫や考え方などもご指導頂きました。

発音の知識面をひと通り終えたあと、音読やリピーティングなどの練習に移行。ネイティブの音声の再生速度を落としてリピーティングするなど、これまでやったことのない練習方法が新鮮でした。音声変化なども意識しながらじっくり練習し、体に染み込ませました。

2月中旬からは文法の講義も始まりました。それが終わり、3月からは大学受験用の文法問題集を開始。合計3冊行いました。そして英文解釈(構文解析)の練習へ。私は大学入試も感覚でゴリ押ししており、TOEIC対策もリスニング偏重で行っていたことから、構文解析の概念が本当に無く(笑)、イチから鍛え直してもらいました。

さらに4月からはイギリス英語の発音も学びました。「アメリカ英語をいったんしっかりやったあと、それとの差を中心にイギリス英語をやっていく」とのことでした。

ここまでの学習プロセスおよびプランニングは、今後の英語学習に向けた基礎力養成に不可欠だなと感じる一方、果たして受験生がこれを一人で行うことは可能なのだろうか?とも思いました。学習コーチの存在の大きさを実感しました。

この間、IELTSは受験せず。

5~7月

リーディングの読み方を知るにはIELTSのパッセージよりも適しているとのことで、TOEFLのリーディング問題、さらにはGMATのRC問題を用いて、読解の訓練が始まりました。授業中にパッセージを読み、段落ごとに要約するという練習方法で、その中で「どこに目を付けて何を考えながら読むか」を教えていただきました。要約も、最初は戸惑いましたが、徐々にできるようになっていきました。

7月に3度目のIELTS受験。OAは初の6.0点。R/L/Wで最高点を更新。上昇幅は小さいですが、今の学習を続けていれば伸びるという感覚があり、焦りはありませんでした。

8~9月

8月にIELTS受験。OA6.5点で、最高点更新。さらに少し上がったことでホッとしました。

授業では、IELTSリスニング対策としてリピーティングが始まりました。リピーティングも私は初めてでしたが、個別指導でしか成し得ない最高のトレーニングだと感じました。私は積み重ねタイプのトレーニングが好きなので、授業に加えて、自分でもほぼ毎日リピーティング演習を行いました。気分転換に映画『タイタニック』を見た時に、かなりの量の英語が聞き取れるようになって、感動して涙したのを覚えています(笑)。

また同時期、IELTSライティングも開始。授業内での添削を行っていただき、その後模範解答を暗唱するということを行いました。

教材以外で英語に触れる量を増やすため、先生おすすめの小説も読み始めました。

GMAT対策としてはCRを開始。一問ずつ解きながら、問題文の読解のコツから選択肢の見極め方まで、ご指導頂きました。ただ、CRについては直前期まで中々コツが掴めず、最後まで苦労しましたが、粘り強く対応頂きました。

9月後半には授業でIELTSスピーキング対策も開始しました。

9月にもIELTSを受けるも、OA6.5で変わらず、焦りが生じてきました。やや伸び悩みも感じていましたが、GMATの演習を続けていけば英語力が上がり、結果としてIELTSの状況も改善するだろうと考えていました。

10月

GMAT初回受験を11月に定め、QuantitativeなどVerbal以外の科目の学習をスタート。元々理系なので、数学系は後回しにしていました。

10月のIELTS受験ではOAが6.0に低下してしまいました。

11月

GMAT Focusを初受験、515点で撃沈。

先生には初回の感触をお伝えしたうえで、足りない点を細かく相談。また、GMATのOGやPrepの間違いリストを作り、何故間違ったかを体系化して理解するように務めました。新しい教材に手を出すのではなく、OGを複数回回すようにました。

12月

GMAT Focus 2回目の受験、525点。

正答率は上がっているものの、前半の誤答が多く、ここをなんとかしないと厳しいと実感しました。11~12月は、スピードを意識したトレーニングを行っていましたが、その結果読解の解像度が低くなりスコア低迷につながっていると、先生にご指摘頂きました。

問題を解く時には、問題に関係ある箇所が読めれば解けると考えていましたが、パッセージの全体構成を理解し、考えるべき事を考えて立体的に本文を読む事ができれば、記憶にも留まりますし、問題の正解率も格段に上がるという事をようやく実感し始めました。

時期的に、テスト戦略を河野先生に相談し、EAもお試しすることとし、SCを1週間程度で突貫工事しました。河野先生のSCの授業は、素晴らしいの一言でした。SCが本職なのでは?と思ったほどです。文法知識が深まり、IELTSライティングにも生かせる知識が身に付きました。

CRでは、本文の一部を飛ばし読みしてしまう癖や、選択肢の吟味が不十分になる癖を指摘され、改善に努めました。

その後、初回EAで154点を取得し、一部大学は射程圏に入りホッとしました。

この時期、先生にはアプリケーションの時期でもありエッセイなどについてもアドバイスを頂きました。このエッセイや、IELTSライティングの学習過程で、自分の日本語能力の無さにも気づき、愕然としました。表現したい内容・日本語共に適切に出てこない故に、英語でも表面的な表現に留まっていました (思えば中学以降、読書量が足りていない事が大きく起因しているかもしれません)。河野先生に、英語のライティング技法をみっちりと指導頂き、話の展開方法を理解する事ができました。日本語でも、文章構成力が上がったように感じました。

2024年最後のIELTS受験ではOAが6.5点に戻りましたが、7.0には到達せずでした。

2025年1月

US3校に出願を行いながら、EAとGMATの勉強を中心に進めました。

12月頃から、しっかりと理解しながら読めることが増えてきたように思っていました。そして1月にIELTSでリーディングをリテイクし、ついにOA7.0に達しました。さらにEAで159点、GMAT Focusで615点を獲得しました。GMAT本番ではRCが信じられないぐらい読めたことを覚えています(なぜかCRが伸びず、総合点はそれほど上がりませんでしたが…)。

RCは、急ぐがあまり表面的な読解になることが多かったので、顔を画面に近づけて、指で一行ずつ指しながら読み、話が飛んだと思った時は戻って読み直しました。そこまで丁寧に読み込んでも解答時間はそんなに遅くなりませんでした。先生が「しっかり読んで解像度が上がれば時間は間に合う」とおっしゃっていたのはこれか!と思いました。

また、QuantitativeやDIの成績も飛躍的に上がりました。英文が読めるようになり、そこにエネルギーを要さなくなったこと、SCを学んだ効果で英文を細かく見る癖がついたことでケアレスミスが減りました。数学系でも英語自体が読めることは重要だと思いました。この時期はまた、数学系をあまり勉強しなくなっていましたが、成績は上がり続けました。

2月

追加でEUを1校出願。

GMATはもっと伸びると思ったので、継続したかったのですが、ある学校からIELTSスピーキングの点数が足りないと連絡を受け、IELTS対策を優先しました。出願した全ての学校でInterviewに呼ばれて、その対策も開始。 やることが多すぎて、一度低血圧で倒れました(笑)

Interview練習で暗唱を繰り返していたところ、内容が全く出てこなくなり話が止まってしまう現象に合い、ここでも先生にご相談しました。すると、スピーキングの力は今ではそれなりにあるので、暗唱までは行わないでスクリプトを音読する程度に留め、本番の内容はある程度アドリブで組み立てるほうがよいとアドバイスを受け、その後劇的に改善しました。

また、Interviewではお互いのことを初めて話すので、内容を相手に理解してもらうためには早口にならず、ゆっくり話したほうが良いと考えていました。特にオンラインでは音質の問題もあり、発音やスピードが聞き取りやすさに直結します。そこでInterviewでゆっくり話す練習をしていたら、あら不思議、2024年3月頃に行っていた、ゆっくりとした発音練習が活きてくるではありませんか!私は早口だったこともあり、英語で自信がないところは「ぐちゃっと」表現する傾向があったのですが、そのようなことがなくなっており、伝えたいことを伝えられたと感じました。

2月のIELTS受験では、リテイクなしの一発でOA7.0点を獲得。受験終了となりました。

このあたりで、この受験生活全般に正しいことを積み上げてきた感覚になり、合格するのではないかという自信が出てきました。

3月

実際、出願した全てのUS校から合格を頂き、Rossに進学を決定しました。

合格連絡が来た際には早々に先生に連絡しました。本当に嬉しかったです。

現在は、留学に向けてリスニングをさらにトレーニングしていますが、現在もまだ伸び続けている感覚があります。むしろ受験の終わった今が一番伸びを感じているかもしれません。

河野塾でよかったと思うこと

MBA受験は大変なプロセスですが、先生の授業中につまらないと思うことは一度も無く、英語学習自体を楽しく継続出来ました。

プランニングをお任せしたことも良かったです。MBA受験は人それぞれ戦略があると思いますが、個別指導でなければここまできめ細かく相談に乗っていただいたり、プランニングを頂けなかったと思いますし、基礎に立ち返って勉強し直せたことが、成功の要因だったと思います。

GMAT・EA等のスコアも最終的にはなんとかなりましたが、それよりも私自身の言語(母語含む)に対する改善点が見えてきたことも良かったことの一つです。今後の留学生活や、学習を通じて向上に努めたいと思います。

家庭・仕事・受験の両立は非常に大変ですが、河野先生の宿題は細切れで継続しやすいものになっています。宿題に真摯に向き合って一歩一歩積み重ねたことがこの成果につながっていると感じています。

河野塾を受験検討されている方に(あるいはMBA受験を検討されているる方に)

ここまでお読みいただいた通り、私はずーっと苦労続きで試行錯誤し、最後の最後でようやくスコアが揃い合格までこぎつける事ができました(英語学習のことだけ記載していますが、仕事と家族と出願のお話もまだまだございます)。

月並みですが、大事なことは諦めないことです。本当です(笑)

自分の実力と、目標のギャップを認識し埋めていく作業を毎日繰り返すことでしか実力はつかないと思います。点を取れない理由、伸びない理由は人によって違い、自分にとっての最適な方法を見つけ出す事は難しいと思います。その時に、河野塾の個別指導は、到達目標への距離を縮めることに対し、間違いなく一役を担ってくれると思います! 

私のように、英語力を伸ばしたいが伸び悩んでる方には受講をおすすめします。

その他

私はMBAプロセスの過程で、河野先生の学習方針に心から納得が行くことも大事だと考えていました。そのため、過去のBlogや、投稿されたWEB記事、アルクの記事等を全て読み、先生の指導方針をよく理解することに努めました。そうすることで、日々の宿題のやり方なども、狙いを意識的に行う事ができたと思っています。

現在も留学中に通用する英語力の獲得に向け、上記の考えに基づいて、隙間時間を利用した学習を続けています。

点数速報

受講中の林田さんがIELTSでOverall7.0点を達成しました!内訳はR8.5, L7.0, W6.0, S6.0です。

今回、河野塾ではLとRを行いたいとのご依頼で、まずはRにフォーカスしたのが奏功し、ずっと点数が上がり続けてついに8.5に達しました。当初は雑な読み方が目立ったので、「読みの解像度」を上げるべく、「英文を理解するとはどういうことか」「どこに目をつけるべきか」を伝えながら、丁寧に意味を取っていくことを心掛けました。

まもなくしてIELTSのリーディングテストではそこそこ手ごたえが出てきたので、早めにGMATのRCパッセージに切り替え、さらに「解像度を上げる」読みを続けました。それが奏功した形です。時間に間に合わせることを優先しすぎて読みが雑になることのマイナス点を本人がしっかりと理解して努力したのも大きかったと思います。

一方、Lについては発音矯正を当初から、かつ継続的に行いつつ、音読・リピーティング・シャドウイング・ディクテーションという「いつものメニュー」をやってもらった結果、こちらも一回だけ6.0が連続した以外は受験のたびに上がり続け、7.0に達しました。

今後はGMATに重きを置きつつ、IELTSも7.5を目指して引き続き学習していかれる所存です。私もできる限りのサポートをしていきます。

合格&点数速報

受講生のTさんがColumbia Business SchoolのMBAプログラムに合格しました!

Tさんは全く初学者の状態から河野塾でGMAT学習を開始し、GMATでは670点を獲得。EAでは166点(GMAT換算750点)を獲得し、見事合格されました。

Tさんより、河野塾のGMAT授業に関してコメントをいただいています。


河野先生には、小手先・テクニックではない本質的なGMATの考え方を教えて頂き、その上で、どのような状況においてはテクニックを使用すべきか、非常に実践的な解法・判断プロセスをレクチャーして頂きました。近年のGMAT、特にSCは表面的な文法テクニックだけでは回答が困難な問題が増えていると思います。河野先生の講義で、そのような最新の傾向に立ち向かえるベースを作って頂いたこと、本当に感謝しています!


私の指導方針をしっかりご理解いただいたうえで結果を出された点、教師冥利に尽きます。元々非常に優秀な方で、授業内でも「スジの良さ」は感じていました。なにぶん初学者だったので伝えることは多くなりましたが、それを猛スピードで吸収された結果だと思います。

Tさん、今回の合格、改めておめでとうございます!留学先でも同様に学業に励まれ、充実した留学生活となることを心より祈念しております。

点数速報

受講生の山本さんがGMATで680点(Q50, V33)を達成しました!

わずか2回目の受験での達成、素晴らしいの一言です。これでとりあえず出願し、状況によっては3回目の受験を考えるとのことでした。

山本さんは当塾のみでGMATを学習した、いわば「河野塾ネイティブ」(使い方合ってる?汗)。彼らの、点数が出るまでのスピードが速いなあと感じます(もちろん色んなケースありますが…)。

山本さん、おめでとうございます!出願でのご健闘を願っております!

単語集のやり方(3) ~完璧主義を避けよ~

単語集をやる際の目標設定として、多くの人が間違えるのは、「単語を永遠に覚えている」ことを目標としてしまうことです。

私は授業内で『4000』のやり方を手取り足取り丁寧に、明確に指導しているつもりですが、それでも間違えたやり方をしてしまう人が出てきます。その間違い方で一番多いのが、「単語の意味を言えても(チェックボックスに鉛筆で入れた)印を消さない」です。

「単語の意味を言えたら印を消して」と指示しているのに、なぜ消さないのか?それは「永遠に覚えているという自信がない」からです。つまり「今日はたまたま意味が言えたけど、明日も覚えていられるだろうか?一週間後は?一年後は?」と考えてしまうのです。そして「そこまで覚えている自信はないから、もう少し記憶が強くなるまで残しておこう」と考えます。その裏には、「せっかく英単語集をやる以上、しっかりやらなければならない」という思い込みがあります。「しっかり」というのは、究極的に言えば「永遠に英単語を覚えている状態」ということになるでしょう。意識的であれ無意識的であれ、単語集を用いた学習にこのようなイメージを持っている人は非常に多くいます。

それに対し、私は「ちょっとぐらいあやふやでも、記憶が長続きする自信がなくても、そのとき意味を言えたら印を消してください」と指示しています。なぜなら、印を消すのをためらっていると、印がいつまでも消えず、学習が停滞するからです。つまり英単語を完璧に覚えることよりも、スピード感を優先するのです。学習にはある程度のスピード感がないと停滞感が出て、気持ち良さを感じられません。そうなるとすぐに挫折してしまいます。世の中には、英単語に限らず、完璧主義に陥ったために何かに挫折してしまった人は多いはず。それでは本末転倒ではないでしょうか。

完璧主義を避けるべきもう一つの理由は、「永遠に覚えていられるかどうかを判断する方法がないから」です。英単語をいつまで覚えていられるかは、学習時点では判断できません。永遠はおろか、1年後に覚えていられるかどうかも分からないでしょう。それでは、いつ印を消せばいいのかに関する明確な基準がないことになります。基準がないから、1単語1単語につき自分の感覚で判断せざるを得なくなります。この判断に1秒~数秒の時間がかかる。判断するためのエネルギーもいる。明確な基準がないから判断がぶれ、いつも「これでいいのかな」と思いながら進めることになる。こうしたことにだんだん疲れてきてしまい、やはり挫折へとつながっていきます。

このように言うと「それでは記憶がいい加減な単語が出てくる。それらの単語は忘れてしまう。そうなったらどうするのか?」という疑問が湧いてくるでしょう。

今後の投稿でこの質問にお答えしますが、その前に「そもそも単語学習に対するイメージが違うのではないか?」というお話をします。

点数速報

授業で忙しくしている間に「速報」でもなくなってしまいましたが、昨年末受講生のHさんがGMATで710点(V38, Q49, IR6, AWA5.0)を獲得しました!!

Hさんについては、TOEFLで100点を超えた際にFBで速報しましたが、GMATでも結果が出ました。Hさんは主に当塾で学習、特にGMATに関しては当塾のみで学習して結果を出しましたので、私としても喜びはひとしおです。

とはいえ、ここまでの道のりは平坦ではありませんでした。TOEFLは受ける度に伸び、下がったり停滞することは一度もありませんでしたが、GMATは苦しい時期もありました。Mathは安定して49点以上を取れていましたが、Verbalは21→19→23→38と推移しました。最初にお試しで受けたオンライン試験の段階では学習量の不足もありましたが、会場受験となって以降は直前のPrepで38とか42とかを出していただけに本人としてはショックだったでしょうし、私としても授業内で手ごたえを感じていたので「なぜ本番でこれほどまでに点数が下がるのか」と考え込みました。

ただ本人としては「こんなもんだろう」という部分もあったようです。大学受験時代から本番に弱いとのことで、GMATの本番で点数がある程度落ち込むことも想定しており、つらい気持ちはあったものの、それほど落ち込まずに学習を続けたとのことです。

また、38点を取った4回目(オンラインを除くと3回目)の受験では、AWAやMathを先に行い、Verbalを最後にしたそうです。通常は頭が疲れる前にとVerbalを先に持ってくる人が多いと思いますが、その逆を敢えてやった、と。その理由は「頭がある程度疲れている方が自分は緊張しないで済む」と考えたからとのことです。自分を冷静に分析したうえで、緊張する自分の癖を無理に抑え込もうとせず、常識にも逆らって自分に最適な方法を選択した点、素晴らしいと思いました。

ただそうはいっても、あまり疲れすぎるのは良くないとも考え、IRの長めの問題はランダムクリック、AWAはテンプレを暗記し労力をあまり使わず解答するなどの工夫もしたとのこと。また彼は数学が元々得意で、それほど労力を使わずにMathが解ける自信もあった。数学が苦手な人はMathで労力を使いすぎる可能性もあるので、この順番はおすすめできないかも、とのことでした。自分の得手不得手を考えて、とにかく自分に合った戦略を練ることが大事、ということだと思います。

またこれまでの学習を振り返って思うところを尋ねたところ、「河野塾で発音を一番先に学んだのが一番良かった」との回答をいただきました。海外経験がなく、いわゆる「純ドメ」のHさんは、リスニングやスピーキングには自信がなかった、と。スピーキングはどうせやっても大して上がらないだろうから重視はしていなかったが、リスニングはどのように学習すべきか想像もつかない状態だったが、河野塾で発音から鍛えたことで順調に伸びた。それが早期のTOEFL100点越えにつながり、その後のGMAT学習や出願対策がスムーズにできた、とのことでした。

私は多くのケースでまず発音を教授しますが、その理由はまさにこのような理想的な流れに持っていくことですので、私としては我が意を得た思いですし、実際に結果が出たので報われた思いもあり、大変嬉しく思います。

Hさん、改めておめでとうございます!あまり表情や態度には出なかったものの、GMATが伸び悩んだ時はつらい思いをされているのを私も感じ取っていました。それでも努力を続けた最終的にこのような結果につながり、本当に良かったですし、最大限の敬意を表したいと思います。出願もそろそろ終わりに近づいていると思いますが、もうひと頑張りしていただいて、最良の結果が出ることを望んでおります!

単語集のやり方(2) ~なぜ「潰す」のか~

なぜ単語集を「潰す」ことが必要なのかを説明します。

それは「仮の目標を設定する」ためです。

単語集をやる人は多いが、収録単語を覚え切る人は少ないものです。河野塾の門を叩く生徒さんでも、これまでに一冊の単語集をやり切った経験がある人とそうでない人では、後者の比率が圧倒的に高いです。そしてこれまでどのようなやり方でやってきたかを尋ねると、「う~ん、何度も眺めて…って感じですかね」などとおっしゃる方が多いのです。

これは適切な目標設定が成されていない状態です。すなわち「どういう状態になったらその作業が終わるのか」が明確でないのです。

単語集を覚えるという行為は、それ自体それほど楽しいものではありません。「苦行」と感じる人も多いでしょう。

終わりのない苦行に耐えられる人間はいません。何とか逃れようとします。単語集の場合、それは挫折を意味します。

苦痛な作業であっても「何のためにやるのか」(目的)と「何をすれば終わるのか」(目標)が明確であれば、耐えられます。

単語集をやっている人にとって、前者の「目的」は比較的明確でしょう。単語の意味をあらかじめ知っていることが学習の効率アップ、ひいてはTOEFLなど各種試験の点数向上につながると思うからやるわけですから。

問題は後者の「目標」です。これが、英語でいえばcrystal clear、つまり「水晶のように透き通った」と言えるほど明確でなければいけません。「不明な単語に付けた印が消えるまで」という目標はあいまいさがなく、明確です。これを「仮目標」とすることで、単語学習が挫折するのを防ぐのです。

それにしてもこの目標はなぜ「」なのか。それは単語学習の目標に関する、極めてよくある誤解と関係しています。この誤解については次回投稿でお話します。

単語集のやり方(1) ~「潰す」とは何か~

私は生徒さんに「単語集を『潰す』ように」と指示しています。では「潰す」とは何なのか?

それは「知らない単語に印を付け、覚えたら消す。印が全部消えるまで繰り返す」ことです。

やり方を具体的に説明します。本書では一つの単元に500単語が収録されています。最初のステップは、その500単語すべてについて、意味を知っているかどうかをテストすることです。

まず紙などを用意して、日本語訳を隠し、英単語の意味を思い浮かべます。

“quota”の意味はなんだっけ?

そして紙をずらして日本語訳を確認します。思い浮かべた意味が日本語訳と合致していれば特に何もせず次の単語に進みます。もし違っていれば左隣のチェックボックスに鉛筆で印を入れます。

紙をずらして意味を確認し…
間違っていれば印を入れる

日本語訳の下に、単語を記憶に「引っ掛ける」ための解説があります。この解説が全ての単語に付いているのが本書の特徴ですが、テストの際は解説は読まなくて結構です。

このようにして500単語すべてをテストし終えたら、最初の単語に戻ります。ここからが本番です。最初のテスト時に印を入れた単語のみ、テスト時と同様に日本語訳を隠し、英単語の意味を思い浮かべます。

印が付いた単語のみ行う

そして正しい日本語訳が言えれば印を消します

正解したら印を消す

間違えたら印はそのまま残しておき、解説に目を通します。

間違えたら印は残し、解説を読む

この「単語の意味を考える」→「正解すれば印を消し、間違えれば印を残して解説を読む」という作業を、その単元に含まれる全500単語(の内、印が付いたもののみ)に対して行います。単元の最後にたどり着いたら、日付を入れる欄に終了の日付を記入します。

単元の最後の単語に到達したら、日付を入れる

そしてまた最初の(印の付いた)単語に戻ります。日本語訳を隠し、単語の意味を思い浮かべ、正しければ印を消し…と、1周目と同じ作業を行います。最後の単語までたどり着いたら日付を入れ、また最初に戻ります。

2周目を終えたら日付を入れ、最初に戻って3周目

この作業を、全ての印が消えるまで繰り返します。これが「潰す」です。

ある単元の500単語を潰し終えたら、次の単元に進む前に、付属のCR-ROMに収録されている音声ファイルを用いて、さらに「潰す」作業を行います。音声ファイルのやり方については後の投稿で説明します。

音声ファイルも潰し終えたら、いよいよ次の単元に進みます。例えば「80レベル」の「1st」を終えたら、次は「80レベル」の「2nd」です。「2nd」についても本で潰し、さらに音声で潰し終えたら、「100レベル」の「1st」へ進むといった具合です。

こうして全単元を潰し終えたら、この単語集を1回終えたことになります。

ではなぜ単語集を「潰す」と発想すべきなのか?次回の投稿でお話します。

単語集の構成

河野太一執筆の『完全攻略!TOEFLⓇテスト英単語4000』には、タイトルの通り4,000個の単語が収録されています。

この4,000単語を、1,000個ずつのグループに分け、以下のように章立てしています。

1コア単語60レベル
2コア単語80レベル
3コア単語100レベル
4分野別頻出英単語

「コア単語」というのは、TOEFLやTOEICなどのテストを問わず、またトピックとなる学問分野などを問わずに登場する、英語の中核的な単語という意味です。

「60」「80」「100」などのレベル分けは、TOEEL iBTの満点である120点中、仮に60点を取るためには、その章に収録の単語は全て知っていなくてはならない、という意味です。

「分野別頻出英単語」は、地質学や天文学といった、TOEFLによく登場する学問分野に頻出する単語を集めています。

各章はさらに500単語ずつ(「分野別頻出英単語」のみ710と290)のパートに分かれています。この500単語のグループを順番に「潰してください」というのが、初回の授業で生徒さんに伝える「指令」です。「コア単語60レベル 1st」の500単語をまず潰し、次に「同 2nd」を潰し、そして「コア単語80レベル 1st」を潰し…という具合です。

なぜ私が「潰してください」と指導するのかについては、今後の投稿でお話します。